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捩花(ねじばな)捩花(ねじばな)日中かなり蒸し暑い。梅雨というものはこんなものと思えばそれまでだが、続く異変に、つい例年と比べる自分がいる。
昨年のことだが、我が住いの裏手に捩花(ねじばな)が咲いているのを見つけた。除草剤をまかれる恐れがあったため、避難させようと、見つけた全てを掘り起こし知人のところに移植した。そのため、今年は半ばあきらめていたが、数は少ないものの、同じ場所にまたそのピンク色の花を咲かせてくれたようだ。
捩花(ねじばな)、捻り花(ねじりばな)とも呼ばれ、別名を捩摺(もじずり)ともいう。
捩花(ねじばな)「みちのくの しのぶもじずり 誰故に 乱れ染めにし 我なら泣くに」。百人一首の河原左大臣の句だが、この“しのぶもじずり”とは、福島県の旧郡である、信夫郡(しのぶぐん)で作られていた“信夫綟摺(しのぶもじずり)”という織物とその捺染技法(なっせんぎほう)をいうらしい。
この捩摺(もじずり)という別名は、その織物の模様から付いた名のようである。
捩花(ねじばな)、ラン科ネジバナ属の多年草。約10日あまり、その年に目にする期間は短い。出来れば終わるまで何もせず、このままそっとしておいてやりたいものだ。

雪ノ下(ゆきのした)雪ノ下(ゆきのした)5月から7月頃にかけて白い花をつける雪ノ下(ゆきのした)。
名の由来は、雪ノ下でも枯れない、雪のような白い花が覆いその下に緑の葉を広げる、2枚の長い花弁が舌のように見え「雪の舌」が変じた、など、諸説諸々あるようだがその真はわからない。
薬効成分があり、民間薬として利用されることは結構有名で、その効能は、中耳炎(ちゅうじえん)、腫れ物、霜焼け、皹(ひび)、引き付け、痔(ぢ)、浮腫(ふしゅ)、水腫(すいしゅ)、癲癇(てんかん)など、かなり多い。また、漢方では虎耳草(こじそう)と呼ぶようだ。
雪ノ下(ゆきのした)この野草、一年中いつでも採れるということで山菜として珍重されているらしく、塩茹でにした上で、辛子和えや胡麻和え、汁の具や煮物などにするようである。また、低温で揚げて天ぷらにしてもなかなかの味と聞く。
7月になり、そろそろ日本列島の梅雨も明ける頃と思うが、南の海には台風3号が日本列島に向かいつつあるようだ。今年、その数の少なさにやや安堵していたが、温暖化によりその数は減り強大化すると聞く。夏からの本格的な台風シーズンに向けて、今年も不安は拭えないのが正直なところである。
この雪ノ下(ゆきのした)の花が終わる頃、日本列島も本格的な夏を迎えることとなる。

山紫陽花(やまあじさい)山紫陽花(やまあじさい)いよいよ7月、このところなんとも安定しない天候が続いているが、そろそろ梅雨も明けるのだろうか。
その梅雨明けを前に日ごろ行く山の麓辺りでは、小紫陽花(こあじさい)の花が終わり、山紫陽花(やまあじさい)がピークとなっている。その大きさや色に派手さはないが、沢沿いや斜面に群生する姿は今の季節を強く感じさせる。
この花、そのままの形で枯れるか、秋や冬などにドライフラワーのようになったものをよく見かけることがある。そのことにどんな意味があるのか分からないが、なんとも面白い。
外側の花びらのようなものは“咢(がく)”。中心の集合体が花となり、額紫陽花(がくあじさい)と良く似ている。ユキノシタ科アジサイ属の多年草である。
山紫陽花(やまあじさい)その名から山に自生するものだけと思っていたのだが、園芸用に改良されたものが結構あり、庭などに植えられていると聞く。しかし、その名の為せる業か、なんとなく自然の中の方がしっくりくるように思う。
この花が盛りを過ぎる頃、いよいよ山の麓も夏を迎えることとなるわけだが、異常が感じられる昨今の気候の中、果たして今年はどんな夏になるか、不安を拭えないまま梅雨の明けるのを待つことになる。

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