味噌豆を煮る 撮影日:2006年2月3日 撮影:管理人味噌豆を煮る 撮影日:2006年2月3日 撮影:管理人本格的な冬を感じられぬままに、今日はもう立春。このまま春になるとは思いたくはないが、思い出したように訪れる氷点下の日が、3月上旬の“三寒四温”を思わせる。また、例年にない雪の少なさは、春先から夏に向けての水不足を心配させる。
そんな今季だが、今年も“食塾(しょくじゅく)”による味噌の仕込みが行なわれた。食塾(しょくじゅく)とは、ここ飯田市の伊賀良(いがら)という地区の公民館活動として、10年近く行なわれているもの。当然、大豆の栽培から行なう。
じつは私の暮す地域の活動ではないのだが、一昨年、“農園さくら(※1)”の主である美沢氏に誘われ、妻がその“仕込み作業(※2)”に参加した。味噌に使う米麹 撮影日:2006年2月3日 撮影:管理人それが切っ掛けとなり、妻はその会に加わることになったのだが、なかなか顔を出せず、実働の加勢には程遠いのがたまに傷となっている。
活動の最終段階となるこの味噌仕込作業には、東京からの参加者もいるらしく、今年は20人近くの参加があったと聞いている。これもブームなのだろうか。
残念ながら都合上、私は今年も参加することが出来なかったのだが、妻を送りがてら撮った写真と、その妻が仕込み作業の合間に撮った写真を掲載する。
現在、大豆の国内自給率は3%程度と聞く。その中で無農薬のものと考えるとその割合はさらに減るだろう。それを思うと、こうした活動が存在する意義は大きい気がする。10年という長い間続けてきた会の中心メンバーには、正直頭が下がる思いがするが、こうした活動を通して、我が国の食文化の一つが、その味と共に後世に残れば嬉しいことである。

塩切り(麹と塩を混ぜ込む) 撮影日:2006年2月3日 撮影:Key ミンチャーで味噌豆を潰す 撮影日:2006年2月3日 撮影:Key 麹と大豆を混ぜ込む 撮影日:2006年2月3日 撮影:Key

昨今耳にする“集落型農業法人”という言葉がある。非効率な分散農地を一つにまとめ、効率的かつ、安定的な農業経営を行う農業法人のことをいうようである。
農業の、職業としての安定を図るのは望ましいことだろう。しかし、収入と収穫量のみを求めた効率と大型化は、さらなる問題を生み出すのではないのか。環境をも含めて、その不安は拭い去れないというのが正直な気持ちである。
食は農から。農は地産地消から始まる。人の手間と時間をかけて作られた作物の中には、土の力と太陽のエネルギーが含まれる。
国の資産となり得る農業。漁業も含め、“本来の意味”でその資産を守り、それを大きく育てていくことは、環境の意味も含めて、消費者である我々個々人に投げかけられた、最大の課題なのかもしれない。
この食塾(しょくじゅく)の中心メンバーのように、一時のブームに惑わされることなく地道な活動をしている人々と触れ合うたびに、つくづく思うことである。

※1 スローライフ >スローフードにこだわる >不揃いでも美味しい野菜、及び、活きた土と古代米を参照。
※2 スローライフ >スローフードにこだわる >味噌を仕込むを参照。