リハーサル風景。音声マイクの確認。撮影:2010年4月1日・管理人リハーサル風景。神妙な顔つきで音の確認。撮影:2010年4月1日・管理人4月。今一つ温かさがやってこない飯田地方、咲き始めた桜もちょっと足踏み状態だろうか。場所によっては今週末辺りが見ごろとなるようだが、知人の「満開になる前に散る花がある」との話に、今年は桜を見られないまま終わるのではないかとやや不安。昨今の天候不良がなんとも恨めしいが、毎年この時期に、この地でライブを行なう人物がいる。豊田勇造氏、ライブで全国を回っている、いわゆるシンガーソングライターだ。ここ飯田を皮切りにその年の甲信地域のツアーが始まることになる。リハーサル風景。花の都ペシャワール。撮影:2010年4月1日・管理人そんな彼のライブに私が初めて行ったのは3年前。その模様をブログ記事にするのは、イレギュラーの昨年秋を入れて5回目となる。
場所は知人が運営するライブハウス「ふぉの」。各地で小さなライブハウスが消えつつあると聞いている昨今、その存続の意味でも、出来れば目一杯の人を集めたい。そこを利用している皆の願いである。当日は生憎の雨。そんな中、40名近い人が足を運んでくれる結果となり、わが街の小さなライブハウスは、久々に熱気と興奮に包まれた。

ライブハウスがあるのは丘の上といわれる市街地。他の地方都市同様に、人の流れは郊外に移り、昼間でもシャッターを下ろしているところが多くなった。そうした現状の中、再開発と称して、市街地が、郊外が変わってゆく。地域が壊れてゆく。
彼の曲に「雲遊天下」というのがある。「日本がまだアジアだった頃に作った曲です」。今回その歌の始まりに彼がいった言葉だ。戦後、物がなく、ほとんどの人が貧しかった時代。ある大きなイベントを皮切りに走り始めた我が国。止まることもできずに、結果弾けた。
「急ぎすぎた旅人が峠の手前で、坂道を見上げながら途方にくれている。まるで同じよう、この国の今・・・・・」と始まるその歌。そして「荷物少し減らして歩き始めよう、道端に咲く名も知らぬ花を数えながら行こう・・・・・人の生きた形など何も止まらぬものを」と締め括る。
マネー主導型となっていった欠陥多き経済システムは、大国発の世界不況を引き起こした。反省も新たな模索もないままに、また同じ道を歩こうとしているように見えるこの国。やはり一度足を止め、今本当は何が必要なのか、何が大切なのかを、しっかり見定める必要がある。環境、教育、政治、経済。その全てに、それは言えることではないのだろうか。

昨年の秋に「雲遊天下、素人ながら歌わせてもらっています」告げた私に、「どんどん歌うてください」と京都弁で快く返してくれた彼、今回はアンコールを含めて17曲も歌ってくれた。
そんな彼と、今回のライブ成功のため前売チケット販売に奮闘した人、その小さなライブハウスを支えるため今も尽力を注いでくれている人、その全てに感謝をしながら、今年の春ライブの報告とする。

尚、今回ライブに来られなかった勇造ファンのために、今年彼が飯田で演奏した曲目を載せておくことにする。
一部
1.桜吹雪
2.夢で会いたい
3.ありがとう ディラン
4.チャオプラヤ河に抱かれて
5.雲遊天下
6.三人の旅人
7.長崎帰り

二部
1.はだしの歌うたい
2.海の人
3.豊田勇造のないないづくし
4.再会(新曲)
5.殺そうと思うだけで良かったのに
6.パクセー(新曲)
7.大文字
8.追憶(新曲)

アンコール
1.老いてこそロック
2.花の都ペシャワール

また、過去の勇造氏のライブ記事は下記。
マンゴーシャワーラブレター
春の小さなライブ2009
桜の時期の小さなライブ
あるライブ