卯の花(うのはな) 撮影日:2009年5月24日 撮影:管理人卯の花(うのはな) 撮影日:2009年5月24日 撮影:管理人5月も残りわずか、日替わりのように繰り返す寒と暖に少々へたり気味のこの頃だが、それでも季節は確実に夏に向かって動いているようだ。曇った日などは、空を覆う雲の感じから近づく梅雨の気配さえ感じる時がある。降雪の少なかった今季の冬、やはりこの先の水不足は心配の種となるが、稲作などを始め、農家の忙しさが本格的になるこの時期、ポツポツと田植えを終えた水田が見られるようになってきた我が地域である。
そんなこの季節、山麓では今年も「空木」の花が咲き始めている。卯の花(うのはな)として唱歌“夏は来ぬ”の歌詞に出てくることは誰しも知るところだが、万葉集を含め、正岡子規、与謝蕪村など多くの歌人が詩に詠んでいるようである。その歌詞からも詩からも、自然と共に生きていた昔の人の暮らしぶりが覗えるが、それと共に、季節の、自然の存在の大きさが伝わってくる気がする。
2005年2月に発効された「京都議定書」。議長国の我が国は、温室効果ガスの排出量を、2012年までに基準年の1990年比の6%削減することに批准している。しかし、2006年度の排出量は基準年比の 6.4%増加。2007年度では、基準年度比で 8.7%増、前年度比でも2.3%増 と、削減どころか増加の一途を辿っているのが実状ようである。
そんな中、2013年以降の地球温暖化対策の国際枠組み「ポスト京都議定書」に向けての動きが、TVなどを通じて聞こえてくるようになった。だが、我が国の提示した削減目標は、あまりにお粗末なものだったと聞いている。
エコカー、エコ家電にエコポイントと「エコ」という言葉が当然のように使われ始めている今日だが、大型車のみのエコカー、大型家電に多く付くエコポイントと、「エコ」などといわれてもどうも釈然としないというのが正直なところである。
戦後、大量消費が支えた右肩上がりの経済の中、結果として大量廃棄を生み、ゴミの山を作った。それは今も続いている。家電製品を含め、アルミ缶・ペットボトル、食品トレイ・スチロール製品等々。リサイクル出来れば問題なしとばかりに、大量消費を促進するかのように世に溢れ出ているているのが現状だろうか。
「リデュース・リユース・リサイクル」。ごみを減らす方法を標語として優先順位の高い順に並べたものである。この順序がかなり重要となる。
まず第1に「リデュース、発生を抑制」、つまり使い捨ての製品の使用を減らしゴミを軽減しようというもの。第2は「リユース、繰り返し使う」、使えるものは繰り返し使おうというもの。そして最後の方法として「リサイクル、資源として再利用」が登場する。つまり、リサイクルは最後の手段なのである。
飛び越されてしまった「リデュース・リユース」。特にリデュースが無視された背景に、経済主導型・企業最優先ともいえる今の社会の歪が見て取れる。
この卯の花(うのはな)の登場する唱歌“夏は来ぬ”。出来ることなら、ここに歌われている風景の残る、豊かな自然のある環境を、次の世代のために少しでも残したいものである。