街道沿いの農家の柿簾(かきすだれ) 撮影日:2008年11月15日 撮影:管理人街道沿いの農家の柿簾(かきすだれ) 撮影日:2008年11月15日 撮影:管理人急激な寒さをもたらした冬型の気圧配置も緩んだらしく、穏やかで暖かな週末となった。今日(22日)は朝から快晴である。
11月も早下旬、さすがにまだ最低気温が氷点下にまで下がる日はほとんどないが、日中の暖かさはどこへやら、午後からは北からの冷たい風が吹き、朝晩の冷え込みは結構厳しい。この時期の気候はこんなものといってしまえばそれまでだが、今年の冷え込みは結構身に応える。
長野県でも太平洋側に位置する飯田地方、わが家の柿簾(かきすだれ)? 撮影日:2008年11月22日 撮影:管理人年々秋が短くなり、冬の到来が早まっているように感じているが、東北辺りでは、今年の冬はいつもより遅い感があると聞いた。気候・気温の変化は地域によってかなり大きな違いがあるようだが、これも温暖化がもたらす現象の一つだろうか。北と南の温度差が小さくなっているようにも感じられる昨今である。
冬間近のこの時期、この地方では、渋柿の皮を剥き、農家の軒先や2階などに、簾(すだれ)や暖簾(のれん)のように吊るされている光景が見られる。いわゆる干し柿である。
「市田柿」などと呼ばれ商品化されているが、そうして出荷されるものは、日保ちのため硫黄燻蒸(いおうくんじょう)される。それにより、見た目もかなり綺麗なものになるが、未燻蒸(みくんじょう)のものに比べやはり味は落ちる。昨年辺りからかと思ったが、消費者団体からの苦情に対応するため、皮むき装置が付けた刺し穴の殺菌に次亜塩素酸(じあえんそさん)が使われるという話を聞いた。生産者の手間が増えることもさることながら、逆にその安全性に疑問を持つというのが正直なところ。さすが「天下の農〇さんの考える食品安全対策」ということか。
殺菌・抗菌に消臭と、売らんがための誇大広告がやたら目立つ昨今、それに感化されたとは思わないが、本来何が安全なのか、消費者自体がもっと賢くなる必要があるのだろう。
昔、我々の子どもの頃は「干し柿」「吊るし柿」などと呼びほとんどが自家製。秋の終わりから冬にかけて、大抵の家の軒先に吊るされていた。乾燥させ渋を抜き保存する。冬の貴重な甘味保存食料として、昔から伝承されてきた一つの文化のようなものだった。しかし、近代化された家屋の構造のためか、その手間自体を惜しむためか、今では一般の家ではほとんど見られなくなった。やはり寂しいというのが正直な気持ちだろうか。
掲載の写真は街道沿いにある農家の柿簾(かきすだれ)である。なお、3枚目は農家のものに比べかなり品祖ではあるが、知人から分けてもらった平核無柿(ひらたねがき)で作った我が家の柿簾(すだれ)。
食文化というほど大袈裟なものではないとしても、先人から受け継がれた知恵である。出来ることなら変えずに残していきたい。そんなことを考えつつ、これから柿の干し上がりを待つ日々が続く。