9月になり、通常ならばそろそろ秋の気配が漂ってくる頃となるが、盆前に続いた猛暑の後は、激しい気温の差と叩きつけるように降る豪雨。天候に不穏さを感じる中、各地で大きな被害が出ている。
先日のこと、「スローフードにこだわる」の取材以来交流のある農園に、頼んでおいた米を受け取りに行った。前回伺った時、農園の主は「稲の成長の様子から、たぶん、今年の残暑はかなり厳しいだろう」と予測していた。準備に抜かりはないようだ。しかし今回は、このところ続く天候の不順に、「秋・冬野菜の、種の蒔く時期を決めあぐねている」と、不安げな顔つきで迎えてくれた。天候や作物と対話しながら、長年農業を営む彼のような“プロ”をも不安にさせるほど、天候の不穏さが増しているのは確実、豪雨や竜巻など、被害を齎すほどの急変に、温暖化の深刻さが益々浮彫りにされる昨今である。
そんな状況をチャンスと見るのか、TVを含めて、「エコ」を利用して利益向上に繋げようとするCMが多くなってきた。
その中で、最近気になるものに、大手自動車メーカーのCM「エコ替え」というものがある。今使っているものをエネルギー消費の少ないものに買い替えさせようというものだが、「電球を電球型蛍光ランプに替えるのがエコ替えならば、今乗っている車をガソリン消費の少ない車に替えるもエコ替えになる」という意味のCMである。つい、「オイッ!電球と車は一緒かいッ!」などと、突っ込みをいれたくなるが、発光ダイオードは別として、電気を利用して灯りを点すランプの類は消耗品である。そんな消耗品と、車を同じ扱いにする辺りがそもそもの間違いとは思うのだが、“照明はこまめに消す”、“車は乗る回数を減らす”。その方が、まだ「エコ」と言えるだろう。あくまでも“まだ”なのだが。
大量消費が支えてきた今の経済システムとその成長。それゆえに使われてきた多くのエネルギー、吐き出されてきた大量のゴミ。そして温暖化を含む、今の地球環境の悪化である。“せめて”一流といわれる企業はその反省の意識を持って運営をしていって欲しいものである。「エコを叫べばなんでも許される」とも感じ取れる現状に、憤りを感じるのは偽らざる気持ちである。
例の「儲けた企業が良い企業」ではないが、そんな今の経済システムを変えない限り、この星の温暖化を食い止めるのは、かなり難しいことではないのだろうか。

ところで、表題に第1回とあるが、2回目があるかどうかは今のところ不明なので悪しからず。

※エコはエコロジーの略。
※エコロジーとは本来「生態学」を差すが、自然を保護して「自然環境と人間の生活との共存を目指す」という意味に使われる。