犬の陰嚢(いぬのふぐり)と虻 撮影日:2007年12月2日 撮影:管理人犬の陰嚢(いぬのふぐり)の花 撮影日:2007年12月2日 撮影:管理人12月。師走になってすでに4日が過ぎた。昨日の飯田地方、時折日が差すものの最高気温が8℃前後と、日中でも暖房なしではさすがに辛い。予報では今日はさらに気温が下がるらしく、本格的な冬の到来を強く感じるようになってきた。
2日の日曜日のこと。朝から快晴。風もなく、穏やかな暖かい一日となった。カメラ片手に山麓公園近くを散策中、大犬の陰嚢(おおいぬのふぐり)が咲いているのを見つけた。春にはお馴染みの野草である。花期は2月頃から5月頃までと認識しているが、ここ数年、秋口まで咲いているのを見かけるようになった。しかし、この12月の初旬の花には、さすがに驚いたというのが正直な気持ちである。
一緒に写っている昆虫は、細平虻(ほそひらたあぶ)。昨年、毒溜み(どくだみ)の花と共に載せた豆平虻(まめひらたあぶ)同様、ハエ目短角亜目ハナアブ科ヒラタアブ亜科に属する小さな虻である。この虻、気温の寒暖でその個体の色が違うらしく、尻の模様と色から多分低温型と思われる。それにしても、犬の陰嚢(いぬのふぐり)の花とハナアブが写る画像は、まるで春の様である。
このブログを始めてから、晩秋に咲く仏の座(ほとけのざ)初冬の姫女苑(ひめじょおん)、真冬の1月に顔を出す土筆(つくし)など、野草たちが見せ始めた変化を何回か載せてきた。犬の陰嚢(いぬのふぐり)と虻 撮影日:2007年12月2日 撮影:管理人温暖化により、不変と思われたこの国の季節が変わり始めていることを強く感じるのは確かだが、変わる気候条件の中での、彼らの新たな試みのようなものを感じる時がある。海から陸に上がるため気の遠くなる時間をかけて挑戦を繰り返し進化していった、我々の遠い祖先を髣髴(ほうふつ)させるのだろうか。
遅れ馳せに発効となった京都議定書。その実効性が疑問視される中、議長国である我が国に課せられた温室効果ガス削減6%は、残念ながら夢のまた夢となっているのが現状のようだ。生きる形態を変える野草ではないが、生物としての変化・進化を待てない人類には、社会全体をはじめ今の経済システムなど、我々個々人の暮し方も含めて、根底から大きく変えていく必要を感じている。もっと自然環境の変化に敏感に、それに合わせられる柔軟さが必要なのかもしれない。
価格を気にしながらも、寒さに耐えるため暖房として化石燃料を使う自分の矛盾を抱きつつ、ふとそんなことを思う12月初旬。寒さはこれからが本番となる。