4月も余すところ残り一週間を切り、ゴールデンウィークと称する大型連休を間近に、世の中、何やら落ち着かないように見える。
今日の飯田地方、朝は快晴。しかし、午前10時を過ぎるころからやや薄曇となる。なかなかすっきりした晴天が見られないこの頃、誰しも連休に向けて、その天候が気になるところだろう。
そういう私、連休とは全く無縁の暮しだが、それでも、気持ちよく晴れあがった休日には、外に出たくなるというのは正直な気持ちである。
この時期、山の麓で頻繁に見られるのが、この山吹(やまぶき)である。連休を前にそろそろピークを迎えている。「七重八重、花は咲けども山吹の、実の(蓑)ひとつだに、なきぞかなしき」。太田道灌(どうかん)の逸話と共に知られる兼明親王の詠だが、狩りの途中に雨に遇い、農家に蓑(みの)を借りるため立ち寄った武将に、その家の娘は何も言わず一輪の山吹(やまぶき)を差し出した。彼は憤慨して帰ったものの、それが詠に例えた“貧しきゆえに蓑(みの)もない”との意味と教えられ、自分自身を恥じた。その逸話の真偽のほどは分からないが、なんとも心に残る話である。
当然、己を恥じるだけでは何も変わらないが、そんな思いにさえ気付きもせず、教えられても恥もしないように見える、今のお偉い方々との質の違いを感じるのは、私だけだろうか。
ちなみに、この詠に出てくるのは、園芸種の八重山吹(やえやまぶき)。一重のものは数年おきに細長い実を付けるようである。
別名を“面影草(おもかげぐさ)または、鏡草(かがみぐさ)。英国では“ジャパニーズローズ”などと呼ばれている、日本原産のバラ科ヤマブキ属の落葉低木。