4月に入り、飯田地方の桜はほぼピークに差し掛かかっている。先日載せた桜並木の桜も、その大半を占める“ソメイヨシノ”は6分咲きの状態。恐らく、後、1日~2日もすれば満開になるだろう。
この地域、もともと城下町だったせいもあるのか、桜の老木と思える数がかなり多いように思える。中でも飯田市美術博物館にある安富桜(やすとみざくら)は、その樹齢から別格ともいえるが、どっしりと構えたその容姿は、樹齢400年近い老木とは思えぬ風格と迫力で、辺りを魅了している。
ふと、昨年の3月に見かけた根の再生処置※を思い出すが、その甲斐があったのか、花を見る限りでは昨年よりも元気に思える。やや安堵したというのは正直な気持ちだろうか。
しかし、気候を含み、その取り巻く環境は、年々悪化していると言わざるを得ない現状の中、この“名木”とも言える大木が、いつまでその雄々しさを保てるのか、今後の街の発展のさせ方が、それを大きく左右するのは確かである。後世まで、資産として守り伝え残さなければならないのは、再生処置により奇しくも生き長らえた老木ではなく、その老木が元気に生存できる環境ではないのだろうか。

※ 参照:“(旧)今日の一枚”「安富桜(やすとみざくら)」2006年3月10日に掲載したもの。