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第3回 自家製粉
味にこだわれば、やはりスローフード
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刈り取りから脱穀と追いかけ、前回で終わる予定であった“そば”だが、「今日の一枚」を撮る
ため立ち寄った「のんび荘」で、幸運な事に製粉の作業場を見せてもらうことができた。先日刈り
取った“蕎麦の実のその後”も見せてもらった。殻はまだついているがツヤツヤしていた。
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◆ 味を考えれば自家製粉・・・
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午前中で忙しい時間帯のため、さほど詳しく聞くわけにはいかなかっ
たが、「蕎麦の実」から「そば粉」になる概略ぐらいは理解できた。
皆で刈り取った蕎麦の実もそうだが、農家から入手した蕎麦の実は、
まだ小石などが混じっている。それを米びつのように見える装置を使っ
て取り除く。その後別の機械を使い、空気(風)で蕎麦の実同士を、撹拌
するようにこすり合わせ、こびりついた汚れをきれいに落とす。結果、
先ほど見せてもらったようなツヤツヤの蕎麦の実になる。この方法が、
一番熱を抑え、蕎麦が変質しないという。
次に精米機のような装置にかけて殻を剥く。写真では分かり難いのだ
が、剥かれた実は少し透明感があり、とてもきれいなものだった。
最後に電動の石臼で粉にするのだが、実際に稼動させて、そばを挽い
て見せてくれたが、かなりゆっくりとした動きだ。効率のみに主眼を置
けば、速く回した方が効率は上がるはずである。だがそれでは、そばが
熱を帯び、独特の「しっとり感」が損なわれると彼は言う。何回も繰り
返し、やっと今の速度にたどり着いたのだろう。
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砂や小石をこれで取除く
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これで蕎麦の実を綺麗にする
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この機械でそばの殻を剥く
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工場などで生産され、一般に「そば粉」として売られているものも、
規模こそ違うが、今では電動石臼で挽かれているものが多くなってきた
と言う。それでも自家製粉にこだわるのは、出来た粉を手で触り、手で
打ち、常に「そば」に触れていたいのだと彼は言う。
昔から日本人は土に触れ、作物を作り、また土を耕し、次の年の収穫
のために準備をする、海辺で魚を獲って生活する人々も形こそ違うが、
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見て触れて自然と共に生きてきたように思う。もしかしたら、そこが「スローフード」の原点なの
かもしれないと考えさせられた。
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剥かれたそばの中身はここに溜まる
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こちらには、そば殻が出て来る
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人力ではないが立派な石臼である
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「のんび荘」では、毎年この時期に自家植の蕎麦を使った「そばまつり」を行うという。幸運な
事に今回のことで私も参加させてもらえることとなった。その報告は、機会があればいずれまた。
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◆ 最後に・・・
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追加となった今回を含め、3回にわたり「そば」を通して「スローフード」を考えてみたが、そ
の中に現代社会が失った大切なものを感じた。豊さを求め日々走り続けている私たちだが、一度足
を止め、真の豊さとは何かを問いなおす必要があるのかもしれない。
取材の協力と「そばまつり」に参加をさせてくれる「のんび荘」に感謝をしながら、「そば」は
今回で終わることとする。
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■ 取材協力
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殻 を 剥 い た 蕎 麦 の 実
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出 来 た そ ば 粉
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料理民宿・自家製粉手打ちそば
のんび荘
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■ 連絡先
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Tel・Fax:0265-22-0755
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