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第2回 蕎麦の収穫とその道具
物を大切にする心、スローフード
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蕎麦の続編。2週間前に刈り取った自家製蕎麦の脱穀である。前回と同様「のんび荘」の面々と
私達夫婦を含めた数人。心配した天候も秋晴れの良い天気、気温も穏やか。
思えば刈り取りの時は朝から雨降り。10時頃上がったものの水分と寒さで大変であった。今回
はきっと作業もかなりはかどるだろう。
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◆ 懐かしい農機具・・・
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私達はかなり遅れて蕎麦畑に到着したのだが、そこに置いてある農機
具に目が止まった。足踏み式の脱穀機と、手回し送風機の付いた選別機
である。そういえばまだ農業の機械化がこんなに進む前、稲刈りは手刈
り、脱穀はこの足踏み式で行った記憶がある。稲だけではなく、大豆な
ども全部この脱穀機を使った。さすがに「手回し式送風機付き選別機」
(正式名称は唐箕(とうみ)というらしい)は見たという記憶はないが、送
風機のはねの部分まで木製であり、なんとも年代を感じる。木製だが大
事に使えばかなり長い間使えるようである。
マスターの話しによると同型のものは今でも販売しているらしいが、
全て金属製であり移動は一人ではまず不可能。回すにもかなり力が要り
長時間の作業は絶対無理だと言う。
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◆ いざ!脱穀。だが、以外と大変・・・
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約2週間かけて乾燥させたそば
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機械で落としきれなかった実は
人力で叩き落す
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2週間かけて乾燥させた蕎麦の束をハザから外し、足踏み式の脱穀機
で脱穀を行う。脱穀された蕎麦の実は茎や葉が混じっているため、それ
を手回し送風機がついた選別機にかけ、実の入った蕎麦、実の入りが悪
かった蕎麦、草などのゴミと分別する。それを袋に入れ、今回の作業は
終了となる。
脱穀機にかけた蕎麦の束は完全には実が落ちていない。そこで、それ
を竹の棒などで人力で叩き落すのだが、それが思った以上に大変なので
ある。みんな無言になり脱穀機や送風機の音と蕎麦の束を叩く音のみが
する中、マスターが「これらは、去年から借りるようにしたんですが、
その前は、全部、人力でやっていたんですよ。はじめてこれを使った時
は感激しましたよ」と言った。
考えて見ればこういった農機具は作業を軽減するための道具。壊れた
ら修理し、農家みんなで大事に使ったものなのだろう。残念だが、今も
存在しているらしい「構造は同じだが使い勝手が悪くなった」という物
のことを思うと、今の世の中の物作りの姿勢がうかがわれる。
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昔から「先人の知恵に学べ」というが、こういった昔の農機具も実際に農作業をするなかから生
まれた「知恵」の結晶だったのだろう。
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にわか農夫、二人がかりで脱穀(笑)
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機械にかける前に篩で大まかに分別
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選別された蕎麦はここから出てくる
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◆ 最後に・・・
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「スローフード」をテーマに、その手始めとして2回にわたり蕎麦を取り上げて来た。ここで私
が学んだ「スローフード」とは「物を大切にする心」ではないかと感じた。やはり、手間をかけ苦
労して、やっと手に入る「食物」なのである。
今の時代、金さえあれば食物が手に入る。それを食い散らかして捨てる。それがどんな事なのか
今考える時ではないのだろうか。
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■ 取材協力
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今 回 獲 れ た 蕎 麦 の 実
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蕎 麦 の 実 ・ 拡 大
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料理民宿・自家製粉手打ちそば
のんび荘
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■ 連絡先
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Tel・Fax:0265-22-0755
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