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第2回 蕎麦の収穫とその道具  物を大切にする心、スローフード
 蕎麦の続編。2週間前に刈り取った自家製蕎麦の脱穀である。前回と同様「のんび荘」の面々と
私達夫婦を含めた数人。心配した天候も秋晴れの良い天気、気温も穏やか。
 思えば刈り取りの時は朝から雨降り。10時頃上がったものの水分と寒さで大変であった。今回
はきっと作業もかなりはかどるだろう。
懐かしい農機具・・・
 私達はかなり遅れて蕎麦畑に到着したのだが、そこに置いてある農機
具に目が止まった。足踏み式の脱穀機と、手回し送風機の付いた選別機
である。そういえばまだ農業の機械化がこんなに進む前、稲刈りは手刈
り、脱穀はこの足踏み式で行った記憶がある。稲だけではなく、大豆な
ども全部この脱穀機を使った。さすがに「手回し式送風機付き選別機」
(正式名称は唐箕(とうみ)というらしい)は見たという記憶はないが、送
風機のはねの部分まで木製であり、なんとも年代を感じる。木製だが大
事に使えばかなり長い間使えるようである。
 マスターの話しによると同型のものは今でも販売しているらしいが、
全て金属製であり移動は一人ではまず不可能。回すにもかなり力が要り
長時間の作業は絶対無理だと言う。


木製の送風機付き選別装置



足踏み式の脱穀機

いざ!脱穀。だが、以外と大変・・・


約2週間かけて乾燥させたそば



機械で落としきれなかった実は
人力で叩き落す
 2週間かけて乾燥させた蕎麦の束をハザから外し、足踏み式の脱穀機
で脱穀を行う。脱穀された蕎麦の実は茎や葉が混じっているため、それ
を手回し送風機がついた選別機にかけ、実の入った蕎麦、実の入りが悪
かった蕎麦、草などのゴミと分別する。それを袋に入れ、今回の作業は
終了となる。
 脱穀機にかけた蕎麦の束は完全には実が落ちていない。そこで、それ
を竹の棒などで人力で叩き落すのだが、それが思った以上に大変なので
ある。みんな無言になり脱穀機や送風機の音と蕎麦の束を叩く音のみが
する中、マスターが「これらは、去年から借りるようにしたんですが、
その前は、全部、人力でやっていたんですよ。はじめてこれを使った時
は感激しましたよ」と言った。
 考えて見ればこういった農機具は作業を軽減するための道具。壊れた
ら修理し、農家みんなで大事に使ったものなのだろう。残念だが、今も
存在しているらしい「構造は同じだが使い勝手が悪くなった」という物
のことを思うと、今の世の中の物作りの姿勢がうかがわれる。
 昔から「先人の知恵に学べ」というが、こういった昔の農機具も実際に農作業をするなかから生
まれた「知恵」の結晶だったのだろう。

にわか農夫、二人がかりで脱穀(笑)

機械にかける前に篩で大まかに分別

選別された蕎麦はここから出てくる
最後に・・・
 「スローフード」をテーマに、その手始めとして2回にわたり蕎麦を取り上げて来た。ここで私
が学んだ「スローフード」とは「物を大切にする心」ではないかと感じた。やはり、手間をかけ苦
労して、やっと手に入る「食物」なのである。
 今の時代、金さえあれば食物が手に入る。それを食い散らかして捨てる。それがどんな事なのか
今考える時ではないのだろうか。
取材協力


















料理民宿・自家製粉手打ちそば
のんび荘
連絡先
Tel・Fax:0265-22-0755
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