種漬花(たねつけばな) なんとも温かな新年となった。続くエルニーニョ現象の影響ということだが、年々寒さに弱くなる我が身体には優しい冬となっている。そんな温かさの影響か、あちらこちらから、梅の開花が伝わってくる。このまま春になってくれれば良いのだが、小寒を過ぎ、寒さはこれからが本番となる。小梅の産地としては全国一と聞くこの地域だが、満開になってしまったところもあるとの話に、今年の梅の収穫への影響を心配している。
 そんな2016年、雪もないことから、久々に山麓公園辺りを散策してみた。午前中は風もなく穏やかで、日差しの温かさが心地良い。街中より若干気温が低いこの辺り、まだまだ茶の色が勝ってはいるが、やはりこの気候である、例年より多少緑の部分が目立つようだ。足元を見ると白い小さな花が見える。種漬花(たねつけばな)だ。まだまだ小さいが、もう花を咲かせている。本来の花期は3月頃のはずである。
実はこの野草、種を付ける花「種付花(たねつけばな)」なのかと思っていたのだが、由来を調べて出てきた漢字から、その認識違いに気付いた。どうやら、苗代をつくる前の種籾を水に漬けるころに花が咲くため付いた名らしい。
野草の名前からいつも見えてくるのは、農と自然と先人の暮らしである。今は昔というが、経済が最優先の現代社会が置いてきてしまったものがそこにはあるように思える。
 その現代社会、辺野古問題が気にかかる昨今だが、昨年は機密保護法案・安保法案と、違憲との声を無視して通ってしまった。そんなきな臭い匂いが漂い始める中、今年は参院選がある。衆参同時ともいわれる中で、民衆が国政に関われる唯一の権利を放棄しないようにだけはしたいものである。
~種漬花(たねつけばな)~
わが国の各地をはじめ、世界中の温帯から暖帯に分布する。名前は苗代をつくる前、種籾を水に漬けるころに花が咲くことから付いた。3月から7月ごろに小さな白い4弁花を咲かせる。別名「こめなずな(米薺)」と呼ばれ、古くから食用にされてきた。漢方では胃痛や整腸薬とされる。
科目名:アブラナ科タネツケバナ属の二年草。
学 名: Cardamine flexuosa.
英 名: Wavy bittercress.