CD九つの物語 2015年12月13日に発売の「三浦久」氏のニューアルバム「九つの物語」。12月15日に私の所に届いた。
 実はこのCD、昨年11月29日の「オーリアッド・サタデーナイトオープンマイク」の時、初めて聞かせてもらった、三浦氏の新曲「菅野有恒」が収録されるということで、今年の6月頃に、収録前の今からでも可能ならばと予約したものである。
 「菅野有恒」氏。陸前高田で写真館をやっていたという彼、震災の時、彼の妻と共に津波に飲み込まれ帰らぬ人となった。 私が、「菅野有恒」の名を知ったのは、東北と繋がりの深いシンガー「豊田勇造」氏のホームページのBBSに、その経緯が載っていたのを目にした時である。 菅野有恒氏は、ご夫婦で陸前高田のジャズタイムジョニーでの豊田勇造氏のライブを30年以上に亘って主催していた人物だ。
私が、震災の翌年の10月に、その豊田勇造氏のフリーライブ「東日本勇造ファン支援ライブプロジェクト、さあ、もういっぺん」に参加した時、その菅野有恒氏のお母上とご子息にお会いしたことが、さらに有恒氏の名を心の中で拡大させる結果となった。
 三浦久氏と、その菅野有恒氏が、音楽を通しての繋がりがあったという事実は、正直びっくりしたが、私も、三浦氏の歌う「菅野有恒」がCD化されることを熱望した一人である。
 CDに収録されているのは9曲。三浦氏の音楽の拠点、オーリアッドを歌った「オーリアッドバンドの歌」から始まり、全ての人への願いとも思える「ガビオタの海」で終る。その全体の構成にも、一つの流れのようなものを感じる。収録には、陸前高田で亡くなった菅野有恒氏と友達だったという、やなぎ氏と、「やぎたこ」の相棒である辻井氏も加わり、アレンジディレクターは、そのやなぎ氏が担当したということだ。
サウンドとしては少々歯がゆさも感じるが、全体的にシットリとしていて、今の三浦氏をそのまま表しているような、繰り返し聞きたくなる、なんとも良い感じのCDである。私のお勧めの一枚といったところだろうか。
 私が音楽から離れて32年以上、ようやく再開はしたが、CDを聞くには仕事用のパソコンしかないのが現状だ。いろんな意味で、己の指標とさせてもらっている三浦氏のCDを買うのは、これでやっと2枚目となる。せめて、パソコン以外でCDを聴く環境が欲しいと思うこの頃である。