例年にないほどの早い梅雨入りで、少々面食らっている今年、それにしてもこの寒暖の差はなんなのだろう。その影響か、なかなか成長しない茄子や胡瓜に四苦八苦しているにわか百姓の我が家である。
そんな6月、ツレアイの出勤場所が変った。以前は徒歩で通えたが、これからはそうはいかないようだ。中古の軽自動車が1台の我が家、普段、家で作業している私だが、この地域、足がなくなるのは結構辛い。ツレアイがペーパードライバーというのもあって毎日送り迎えをしている。
その出勤場所へは20分弱で到着する。国道を避けて裏通りを通るわけだが、目的地近く、坂を下りるとなだらかに拓けた場所に出る。その少し向こうは国道153が走り、昼夜問わず車の激しい往来ある。だが、こうして少し外れれば、田はあり、畑の見える風景が残っているのは嬉しい。
季節を感じられる、そんな場所、そんな地域、出来ればずっと残って欲しいものだが、未だ経済神話を信じている地域情勢ではそれも望み薄か。昨今の開発の動きから、多分、いつかはここの風景も変ってしまうのだろう。

両側に水田の広がる場所がある。それを分けるように通る道路の、路面すれすれを沢山のツバメが飛び交っている。今は巣づくりの時期。多分、巣の材料を確保するために奮闘しているのだろう。彼らの動きはすばやい。それでも、それを横切るように進むのはかなり神経を使う。しかし彼らは、そんな思いをあざ笑うようにヒラリヒラリと車をかわし、前後左右を往来している。彼らが、人の営みを利用するように生きはじめて長い。多分その辺りは心得ているのだろう。
そんな彼らの動きが一段落して、軒先の巣に子ツバメの声が聞こえ始める頃には、この伊那谷も梅雨明けとなるのか。猛暑が予想されている今年、いったいどんな夏がやってくるのだろう。

先日、東北地方も梅雨入りしようだが、梅雨前線の場所から、今後の豪雨が予想されるらしい。今朝起きた、大きな余震を含めて、まだまだ被災地に不安は続いているが、進まぬ復興の根幹にある原発事故、昨今の政治のドタバタと、今後を含めて、本当に何が必要なのか、どうすべきかを、もう一度真剣に考えて欲しいものである。
今後を踏まえ、我々一個人の意識改善も、生活形態改善も、決して例外ではないことは肝に銘じておきたいが、毎年飛来するツバメたちに笑われないように、せめてもう少し目をあけて、世の動きの真相、事の本質くらいは見抜いていたい。

毎年、ツバメを見ると思い出す友が居る。ネットを通じて知り合った。すでに2回ほど私に逢いに来てくれた。梅雨空の下、そんな彼に遭いたくなる、ツバメの街道、明日も通る道である。