川原の葦原 撮影日:2007年12月14日 撮影:管理人天竜川の川原から 撮影日:2007年12月14日 撮影:管理人12月も半ばを過ぎて、いよいよ今年2007年も残り半月を切った。この秋、色付きの遅かった木々も、粗方の葉を落とし、辺りは寒々とした冬の様相に変わり始めたようである。
先日、不覚にも痛めてしまった我が腰は、ゆっくりだが回復傾向。日常生活における不便さはかなり軽減されてきた。しかし、未だ続くその痛みに、撮影は元よりパソコン作業まで制限されることが多く、少々いらだち気味の毎日が続いている。そんな現状のストレス解消のためという訳ではないのだが、通院のついでにちょっと寄り道をしてみた。写真は“天竜川”の川原。一見、薄(すすき)と見紛うが、生い茂るのは葦(よし)である。葦の穂 撮影日:2007年12月14日 撮影:管理人
この川、長野県の南部を縦に通りぬけて、愛知県をかすめながら静岡県を経て海まで到達する。その拠点となる諏訪湖には31もの河川が流れ込み、受け持つ流域面積は湖面積のおよそ40倍と聞く。そのため、大雨の際のこの川の流量は尋常ではなく、昔は度々氾濫を起こしていた。
それゆえ、かつては“暴れ天竜”とまで呼ばれていたが、36災害以降見直されたという流出口の“釜口水門”の力か、施された流域の護岸対策の賜物か、しばらくはその鳴りを潜めていた。だが、昨年の7月、温暖化影響で降り続いた、記録的な豪雨により氾濫を起こし、再びその片鱗を見せ始めている。当然だが、今、私の立つこの撮影場所は完全に水没。一面の葦原(あしわら)も一部を除きほとんど流されてしまった。しかし、自然の中に生きる彼らは結構逞しい。徐々にだが、またその数を増やし始めているようである。
高い堤防の外側には、かつてその流れが作ったと思われる平坦な地形が、人の作った建造物を従えて広がっている。進む気候変動の中、再び大きな被害が出ないことを祈るが、水量の少ないこの時期、その流れは穏やかに私を迎えてくれた。
そんな川原もすでに冬の様相、日にあたる葦(よし)の穂が白く輝いていた。

◇葦(よし、または、あし):
和名の語源は青芝(あおし)から稈(はし)に変化、「あし」と呼ばれるようになったという説が有力らしいが、「あしは悪しに通ずる」ということで、「善し」の意味で「よし」と呼ばれるようになった。
また、漢字では、葭(幼生のもの)、蘆(成長したもの)、葦(穂がでたもの)と、成長の段階によって区別して表現されるようである。
暖帯から亜寒帯まで、世界中の湿地帯に広く分布する、イネ科アシ属の多年性草本。