一昨日と昨日、横たわる秋雨前線のためか、久しぶりの雨となった。夜の気温は20度を下回り、やや肌寒さを感じるが、日が差せば、日中はまだ夏の名残を感じさせる。しかし、そんな日中でも、もう30℃を越えることはなさそうである。
午後のこと、病気療養中の知人を見舞いがてら立ち寄った城址公園の脇に“犬酸漿(いぬほおずき)”が咲いているのを見つけた。小さいながらその花は、一人前にナス科の花の特徴を持ち、受粉のための昆虫を誘うがごとく必至で咲いていた。すでに結実が見られるものもある。
この野草のように、名前に“犬”の付く野草は結構多い。「役に立たない」という意味で付けられるようで、この犬酸漿(いぬほおずき)は「酸漿(ほおずき)に似ているが役立たない」ということになる。また、ナス科ということからなのか“ばかナス”なる別名もあり、それほど好まれなかった野草なのかと、少々気の毒にもなってくる。
犬酸漿(いぬほおずき)、8月から10月ごろ小さな白色の花を咲かせる、ナス科ナス属の一年草。全草・果実共に有毒ということである。
突然世を騒がせた首相の辞任。今日までの経緯から、伏線は敷かれていたようにも思うが、そのタイミングから、政治家としての視線の先を自ら露呈したような結果となった。お友達内閣、お坊っちゃん政治家などと、いろいろな言われ方をされたが、議論もせず、強行採決で決めてしまった法案すべてを考えた時、その責任はかなり重いと感じている。
この御仁と共に、議論を忘れた今の国内政治に、野草のように、役に立たない意味の“犬”を付けたくなるが、改革の名の元に変えられてきた今の状態を見る時、一緒に有毒のレッテルも貼りたくなるのが正直な気持ちだろう。
ところで、この犬酸漿(いぬほおずき)、他の有毒植物同様に民間薬として利用できる。毒を持つ“犬もの”も使い方次第ということになるが、国の中枢に生える有毒な“犬もの”は果たして薬になり得るのだろうか。もしかしたらそのカギは、我々個人個人が握っているのかもしれない。