7月も終わりに近づき、そろそろ西日本の辺りから、梅雨明けの便りが聞こえ始めた。空梅雨といわれた今季だが、その割に雨の日が多いように感じている。そのせいか、夏野菜などの農産物に日照不足による影響が出ていると聞いている。
掲載の写真は、22日の日曜日に山麓で見つけた“にいにい蝉(にいにいぜみ)”である。割と早めに地上に出て来るらしく、山の麓では6月中旬頃から鳴き声が聞こえ始める。
「閑(しずか)さや 岩にしみ入 蝉の声」。奥の細道で詠われた、松尾芭蕉の有名な句だが、この“蝉(せみ)の声”とは、“にいにい蝉(にいにいぜみ)の声”という説が有力のようである。“油蝉(あぶらぜみ)”か“にいにい蝉(にいにいぜみ)”かの論争が巻き起こり、結果、“にいにい蝉(にいにいぜみ)”に軍配が上がったということらしい。
その芭蕉に「岩にしみ入」と詠わせた、独特の、頭の中に響き渡るようなその鳴き声は、暑い夏が始まる証ともいえる。
どうやら、そろそろこの山麓にも、夏の足音が聞こえ始めたようである。