そろそろ入梅するのだろうか、なんとも蒸し暑い日が続く。一昨日辺りは、西風によるフェーン現象なのか、北海道のオホーツク海側で、記録的な気温上昇が起こったようである。結果、沖縄や西日本よりも気温が高くなったと聞けば、これも温暖化の齎(もたらす)す現象なのかと、梅雨を前に今後が不安になってくるのは心情だろうか。
5月の終わりのことになるが、山の麓に綿毛のようなものを付けた、背の低い木を見つけた。まるでカビでも生えているような風体に、恐る恐る近づいたのだが、どうやら花のようである。
深山柳(みやまやなぎ)というようだが、見えた綿毛は、タンポポなどと同様に種子を運ぶためのものらしく、すでに風に吹かれ漂っているものも見られた。
この柳、深山(みやま)と名が付くことから、山地に生えることは推測できるが、調べたところでは亜高山帯から高山帯に分布するもののようである。通常、こんな麓にも生息するものなのかは分からないが、我が国の固有種ということもあり、外来種の多い中で、実際に見られるのはちょっと嬉しい気がする。深山柳(みやまやなぎ)、ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木となる。
余談ともなるが、植物たちの生きる仕組みには結構興味深いものがある。そこに、自然の持つ逞しさや、強かさを感じるのは毎度のことだが、たまに、地球に流れている“時”のようなものを感じることがある。たぶんそれは、彼らが気の遠くなるような長い時間の流れの中、変わる地球環境と共に、その形態を変えながら今日まで生き延びて来たためだろう。
生物として歴史の浅い人類。その僅かな歴史の中で、紛争を繰り返し、環境破壊まで引き起こしている我々に、地球の“時”は息衝いているのだろうか。
その生物の一人として、つくづく思うことである。