今年の大型連休も終わり、日々奮闘する、通常の生活に戻った人も多いのではないだろうか。
そんな5月、ここ飯田地方は桜の時期が終わりを迎え、街中のソメイヨシノを始め、山の麓の山桜もすでに葉桜となっている。遅れ馳せに咲いた八重桜も、後を追うように花を散らし始め、数少ない御衣黄(ぎょいこう)は、その終わりを告げるように花の色を変え始めている。
この御衣黄(ぎょいこう)という桜、つぼみの頃とその咲き始めは、薄緑色というその色のため、葉っぱとほとんど区別がつかずあまり目立つことはない。その花も後半ともなると、中心が赤味を帯び、徐々にその色が濃くなってくる。そのころになると、花弁の色も、薄緑色から黄色味がかった色に変わり始め、遠目にも花の咲いているのが分かるようになる。
江戸時代以降にヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラなどの掛け合わせを繰り返し作られた里桜(さとざくら)。その全てが八重咲きとなり、この御衣黄(ぎょいこう)も、そうしたものの一つとなる。この花が終わりを向かえる頃、近隣の山々は、針葉樹の濃い緑色と広葉樹の淡い色との、春の色のパッチワークが際立ってくる。
そんなこの時期の、夏日(なつび)という急激な気温上昇に、温暖化の実状を実感せざるを得ないこの頃、今日も、日中は25℃を軽く超えたようである。
気温が低かった4月。6月から7月の初夏を思わせる5月。梅雨を前に一年で一番心地良い季節は、知らぬまに飛び越され、蒸し暑さだけが際立っている。これから梅雨・夏と一体どんな気候になるのか、そんな不安の中で、その5月も、もう第二週である。