2月に比べ、戸惑うほどの気温の低下が見られた今年の3月。その3月も残り一週間を切った。
3月最後の土曜日となった今日、予報の通り午後から雨となった。気温は低く、やや冷たい雨とはなったが、乾燥続きだった最近を思うと、開花を目前にしている桜たちには“恵みの雨”となったのではないだろうか。
先日の“飯田城の紅梅”を撮影した同じ日、市街地の公園に山茱萸(さんしゅゆ)が咲いていた。春先、葉が開く前に黄色の花が咲くことからか、別名を“春黄金花(はるこがねばな)”というらしい。その原産地は中国・朝鮮半島。日本には享保年間ごろに、薬用植物として伝えられたといわれている。当然、民間薬として利用されるが、花や葉ではなく、秋に付ける赤い実を利用するようだ。焼酎に漬け込み果実酒にして利用するのが一般的らしく、病後の滋養強壮、疲労回復、冷え性、低血圧、不眠症などの効果があるということだ。そのためか、秋珊瑚(あきさんご)、秋茱萸(あきぐみ)とも呼ばれるようである。
山茱萸(さんしゅゆ)といえば、以前「今日の一枚」に掲載した、飯田市の美術博物館に植えられている大きな木を思い出すが、この木はまだ若いらしく、その枝振りは美術博物館のものとはかなり違う。それでも、その黄金色に輝く花は、桜の開く一足先に、廻り来る春を告げていた。
毎年桜が咲き、山茱萸(さんしゅゆ)が咲く。地球環境の面からも、木々があり、土がある街。人が歩いていてもホッとできる、そんな街の、そんな地域の発展を望みたいものだが、それは、それを推し進める側の思惑でかなり変わってくるは確かなようである。
来る4月は統一地方選挙がある。見え隠れする思惑の中から、どこが潤い、どんなところが虐げられるのか、それをしっかり見極めながら選ぶ必要を感じるが、今一つ各人の実態が見えてこないのも実情のようである。
格差社会が叫ばれ始めた昨今、国にしろ、地方にしろ、これ以上弱者が虐げられる社会にはしたくないものだが、それは、我々個人個人の意識と行動さえあれば、実現可能なことと信じたいものである。