このところ、2月と3月が入れ替わったような寒い日々が続いている。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」というが、そろそろ、その寒さも終わりを告げて欲しいこの頃である。
日曜日のこと、快晴の好天気。朝の冷え込みを忘れさせるほどの暖かな一日となった。そんな陽気に誘われたわけではないが、久しぶりにカメラを片手の山麓散策。そろそろ、野草たちも本格的に目覚める頃である。
足もとの、めぼしい被写体を探しながら歩く私の耳に、「ヒュィン、ヒュィン」と軽やかな鳥の声が聞こえて来た。足を止め見回してみると、桜の枝に二羽の野鳥。そろそろ繁殖の季節、その“お相手”に意識が向いているのか、多少近づいても、枝を移動するものの飛び去る気配がない。忍び足で精一杯近づきなんとか撮影。
帰宅後調べたところ、どうやら“鷽(うそ)”という鳥らしい。なんとも不可思議な名に思えるが、「嘯く(うそぶく)」・「嘘吹き」・「嘘を吹く」などがその名の由来のようである。そもそも口笛を吹く様から使われた言葉だが、その鳴き声が口笛を吹く音に似ているところからついたという。しかし、その軽やかでやさしげな声を思うと、なんとも気の毒な気がする。
政界、経済界を含めて、重要なデータの改竄(かいざん)、都合の悪いことの隠蔽(いんぺい)と、その“うそ”が平然とまかり通るように見える昨今の人間社会。もしかしたら、我々“人”と言う生物の方が、“その名”には相応しいのかもしれない。