2月も中旬を過ぎた。例年ならばまだまだ寒いこの時期だが、暖冬の今季、大した雪も見ないまま春が来る気配を感じる。それでも2月、まだ春と冬が同居しているのは確かである。
春に向けて“三寒四温”という言い方を耳にする。3日の寒い日と4日の暖かい日が繰り返されるというものだが、そもそもこれは、シベリアからの高気圧が、7日の周期で繰り返されることから起きる現象らしく、その影響を受けやすい中国北東部や朝鮮半島辺りで、冬の気候の表現として使われた言葉のようである。
日本では春先に見られる4日周期での変化に対して使うことが多く、3月の上旬頃の気候のことを言うらしい。
掲載の写真は姫踊子草(ひめおどりこそう)。ヨーロッパが原産の帰化植物。明治時代の中頃に渡来してきたものだが、今ではどこでも見られるポピュラーな野草となっている。春先は元より、夏の終わりの頃まで見られることがあるが、それでも春の野草のイメージが強い、シソ科オドリコソウ属の二年草である。
先日「今年は今から害虫が多くて困る」と、農家の人が嘆いていたのを聞いた。越冬したものもいるらしく、どうやらこの暖かさで、啓蟄(けいちつ)の時期を待たずに、虫たちは活動を始めているようである。
変わる気候に変わっていく動植物。長い歴史の中で積み重ねてきた知恵と経験の資産を、放棄せざるを得ないような事態は、できれば、時間をかけてでも阻止したいものである。