彼岸花(ひがんばな) 撮影日:2006年9月25日 撮影:管理人彼岸花(ひがんばな) 撮影日:2006年9月25日 撮影:管理人9月も余すところ一週間を切った。雨の日の今日、さすがに気温は低く長袖が必要となる。
掲載の写真は、秋の彼岸の頃その色と風体で目を引く彼岸花(ひがんばな)である。別名を曼珠沙華(まんじゅしゃげ)というが、墓地などでもよく見られることもあって、死人花(しびとばな)とも呼ばれる。そのためか、昔は「触っては駄目。採って来ては駄目。」と言われたそうである。
その鱗茎(りんけい)部分(球根のこと)にはリコリンというアルカロイド系の有毒成分があり、それを利用してモグラ避けとして田んぼの畔などに植えられたと聞くが、このリコリンという成分、水溶性らしく、摩り下ろし水に浸して澱粉(でんぷん)とすれば毒性はなくなるようである。そのため、飢饉の時の食料としたらしいが、田の畔などに植えられていたのは、たぶん、その二つの一挙両得の意味があったものと思われる。
また、石蒜(せきさん)とも呼ばれ民間薬として利用されるらしく、その効能は、あかぎれ・いんきん・打ち身・疥癬・脚気・関節リウマチ・肝臓病・胸膜炎・痔・歯痛・しらくも・腎炎・吸出し(化膿)・タムシ・乳腺炎・捻挫・肺炎・腹膜炎・浮腫・肋膜炎など、お覚えきれないくらいに多い。当然その用法などは異なるが、こうした野草の全てを利用していた昔の人々の知恵と知識は驚嘆に値する。
田や畑は益々消えて行く傾向の昨今、こうした知恵と経験も一緒に消えて行くのだろうか。そんな思いをよそに群生する彼岸花(ひがんばな)は短い花の時期を謳歌しているように見えた。