大根干し(そろそろ完成) 撮影日:2008年2月20日 撮影:管理人大根干し(干し始めた頃) 撮影日:2008年2月1日 撮影:管理人飯田地方の寒さもやっとその峠を越えたのか、昨日は12℃近くまで上がり日中では暖房も要らないほど。この頃の灯油価格高騰もあり、暖かいことは嬉しいが、この急激な気温上昇には、今までと違う、大きな気候の変化を感じざるを得ないのが正直なところである。
各地で異様な寒さを感じた今季だが、そんな寒さにも恩恵と言えるようなものがあるようだ。諏訪など、長野県の中信と言われる地方では、冬の寒さを利用して寒天作りが行われる。自然の気候を利用した保存食料のひとつとも言えるものだが、近年は冷え込む日が少なく、良いものができなくなったと聞いている。そんな寒天業者には、今年の冷え込みは嬉しい寒さとなったのではないだろうか。
写真は“大根干し”である。輪切りにし、茹で上がった大根を冬の寒さに晒して乾燥させるものだが、地域によっては「凍み大根(しみだいこん)」と呼ぶところもあるようだ。これも、冬の寒さを利用して食物を保存する先人の知恵。
実は、私には“大根干し”とは“切干し大根”のイメージが強く、幼い頃の記憶を含めて、この光景は浮かんでこなかった。多少の地域差なのだろうか、我が連れ合いに言わせればこちらの方が正当ということだ。以前、暖冬のせいもあったのだろうか、カビが生えて失敗してしまった“大根干し”も、今年の寒さのためか、連れ合いの少々雑な干し方にも出来は上々のようである。
こうして寒さを利用するもの、日に干すもの、細菌の力を借りて醗酵・熟成させるものなど、昔から自然の力を利用した保存食作りはいろいろある。だが、市場に出回る関係なのか、工業化が進み、添加物を加えるもの、薬剤などにより殺菌されるものなど、その安全面から少々疑問を持たざるを得ないのが現状である。
最近の“餃子騒ぎ”ではないが、本来の意味で食の安全を問うならば、一次産業の現状とそのあり方を含めて、まずは己たちの足元から見直す必要があるだろう。それには、我々消費者の食への意識向上が不可欠となる。
ところでこの“大根干し”、煮込み鍋に入れられ腹に収まったのだが、味の方も上々ということで一件落着となる。